今回は2024年に以文社より出版された『ありふれた〈平和都市〉の解体〜広島をめぐる空間論的探求』の著者である仙波希望さんにお話を伺いました。インタビュアーは清水亮さんです。
【著作概要】原子爆弾投下という人類史的悲劇を経験した広島は、なぜ〈平和都市〉を標榜し、体現しようとしたのか。本書は、まさに所与のものとして語られてきた〈平和都市〉としての広島を主題に、その系譜・景観・空間構造を成り立たせてきた存立基盤を解体することで、未だ「問う」べき対象としての都市・広島の姿を明るみに出す。
第一部の理論編ではこれまでの広島研究を「記憶」と「復興」の両軸から再審し、ここに見る課題(〈平和都市〉の二分法)を昨今の都市研究の成果を補助線に、本書の課題として位置づける。そこから第二部の事例編では〈平和都市〉化のプロセスを「8月6日」を貫通しながら展開したものとして位置づけなおし、その一つの帰結としての「原爆スラム」の生成と消滅、また〈平和都市〉自体の正統性を問い直す空間的実践としての〈平和塔〉の存在について論じた。
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【ゲスト:仙波希望 プロフィール】
1987年広島県生まれ。札幌大谷大学社会学部地域社会学科准教授。東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程国際社会専攻修了。博士(学術)。専門は都市研究、カルチュラル・スタディーズ。 本書『ありふれた〈平和都市〉の解体』が初の単著となる。主な著書に『惑星都市理論』(共編、以文社、2021年)、『忘却の記憶』(共編、月曜社、2018年)。主な業績に「『平和都市』の『原爆スラム』」(『日本都市社会学会年報』第7回日本都市社会学会若手奨励賞受賞、2016年)。 https://researchmap.jp/nozomu_semba/
【インタビュアー:清水亮 プロフィール】
1991年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部専任講師。東京大学人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。主著に『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』(新曜社、2022年)、『「軍都」を生きる〜霞ケ浦の生活史1919-1968』(岩波書店、2023年)、『戦争のかけらを集めて〜遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』(共編著、図書出版みぎわ、2024年)など。その他詳細は、https://researchmap.jp/smzr/