『ピアノの日本史〜楽器産業と消費者の形成』著者 田中智晃さんインタビュー

名古屋大学出版会 2021年



富裕層の専有物であったピアノが人々に親しまれるようになった由来を、明治~現代の歴史からたどり、その普及を可能にした原動力を経営学・マーケティングの観点から明らかにした。斜陽産業化の危機を超えるメカニズムを分析し、音楽教室とともに世界へと拡がった日本の鍵盤楽器産業の全体像を描いた。


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【ゲスト:田中智晃 プロフィール】

東京大学大学院経済学研究科博士課程を満期退学後、同大学特任研究員を経て、2011年に東京経済大学経営学部専任講師に着任。現在、同大学准教授。2018年に東京大学より経済学博士号を取得。ピアノをはじめとする楽器産業の歴史や流通、マーケティングに関心がある。これまで楽器小売店の伊藤楽器(千葉県)、三木楽器(大阪府)、電子楽器メーカーのコルグ(東京都)の社史を執筆し、その過程で得た内部資料を基に論文を執筆してきた。2020年には一般社団法人全国楽器協会の依頼を受け、日本の楽器市場規模に関する大規模な統計調査を行った。趣味でヤマハのシンセサイザー(DX-7、EOS)を愛用。学生時代はヤマハ音楽教室でフルートを習っていた。


【インタビュアー:吉原真里 プロフィール】

ハワイ大学アメリカ研究学部教授。東京大学教養学部教養学科卒業後、米国ブラウン大学にてアメリカ研究修士号・博士号取得。専門はアメリカ文化史、アメリカ=アジア関係史、ジェンダー研究、カルチュラル・スタディーズなど。著書にDearest Lenny: Letters from Japan and the Making of the World Maestro (Oxford, 2019), 『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか? 人種・ジェンダー・文化資本』(アルテスパブリッシング、2013)『ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール 市民が育む芸術イヴェント』(アルテスパブリッシング、2010)『ドット・コム・ラヴァーズ ネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書 2008)など。