『鄭清文とその時代〜郷土を愛したある台湾作家の生涯と台湾アイデンティティの変容』著者 松崎寛子さんインタビュー

郷土を愛したある台湾作家の生涯と台湾アイデンティティの変容

東方書店 2020年



日本統治時代に生まれ、終戦・旧国民党独裁時代・民主化と進む激動の戦後台湾を生きた作家鄭清文。2017年に逝去すると当時の台湾文化部部長であった鄭麗君は彼を悼んで「国宝」級作家と称えた。彼の作品は台湾の「国文」教科書にも掲載され、台湾の若者の間で知名度が高い彼の作品の多くは日本統治時代や都市と地方の関係、環境問題などに触れる。そして彼の作品の主要登場人物はスティグマ――一般と異なることから差別を受けがちな属性――を持つ。本書では彼が登場人物にスティグマを持たせた理由や彼の生い立ちなどを通じて、彼の作品に込められた心や寓意を読み解く。


【著者:松崎寛子 プロフィール】

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国学部中国語専攻卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻は台湾文学、華語文学、台湾児童文学、台湾における国語教育、日台比較文学など。国立台湾大学台湾文学研究所交換留学、ハーバード大学イェンチン研究所訪問研究員・カリフォルニア大学サンタバーバラ校台湾研究センターポスドク研究員を経て、現在日本学術振興会特別研究員、日本大学特別研究員。華語圏、日本、英語圏で台湾文学がどのように研究されているかの比較もしています。

著書に『鄭清文とその時代:郷土を愛したある台湾作家の生涯と台湾アイデンティティの変容』 (東方書店、2020年)、『越境する中国文学』(共著、東方書店、2018年)、《동아시아의 일본어 문학과 집단의 기억, 개인의 기억》 (共著、역락、2018)。論考に“Dis-/Re-Connecting Japan to Taiwan: The Complex Feelings of Different Japanese Generations toward Taiwan in Yoshida Shūichi’s Road”, Electric Journal of Contemporary Japanese Studies (2018年12月)など。 現在二児育児中。


【インタビュアー:明田川聡士 プロフィール】

1981年、千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻は台湾文学・台湾映画。大学院在籍中の2011年に国立台湾大学台湾文学研究所に交換留学。留学直後に東日本大震災を経験し、それを機に台湾人による対日感情の歴史的変遷にも関心を寄せるようになりました。現在、獨協大学国際教養学部専任講師。同学部中国研究科目群の教員として、台湾文学・台湾映画などの授業を担当しています。

著書に『戦後台湾の文学と歴史・社会』(単著、関西学院大学出版会、2021年12月予定)、『越境する中国文学』(共著、東方書店、2018年)、『台湾研究新視界』(共著、台北・麦田出版、2012年)。翻訳に黄崇凱『冥王星より遠いところ』(単訳、書肆侃侃房、2021年9月)、李喬『藍彩霞の春』(単訳、未知谷、2018年)、李喬『曠野にひとり』(共訳、研文出版、2014年)。論考に「台湾文学と台湾ニューシネマ」『ユリイカ』(単著、2021年8月)など。