第37回 山本かほりさんインタビュー『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』

三一書房 2022年



今回は2022年に三一書房より『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』を出版された山本かほりさんをゲストにお迎えしました。

【著作概要】
本書は二部で構成される。第Ⅰ部では筆者がこの10年関わってきた朝鮮学校「支援」活動に参加しつつ、考察してきたことをまとめた。まず、朝鮮学校での営みを記述し、その学びが生徒たちにとってどのような意味を持つのかについて考察した。さらには、「朝鮮学校にとっての<祖国>とは何か」という問いに迫るべく、愛知朝鮮高校の生徒たちの朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への修学旅行の同行調査を行い、記録した。2週間にわたるフィールドワークを6度行い、かれらが朝鮮で何を見て、感じ、考え、そして、朝鮮をどのように捉えるのかについて考えた。そのうえで、朝鮮学校に「好意的」なリベラル言説が、朝鮮学校と朝鮮の関係を無化し、結果として他者理解の姿勢を手放してしまっていることについて批判的に考察した。

第Ⅱ部は、30年間にわたる在日朝鮮人の家族親族の生活史調査からの知見をまとめたものである。対象親族は3世世代に医師をはじめとする多くの高学歴者・専門職従事者を輩出した親族である。強固な家族ネットワークのもとで、日本社会を生き抜くために上昇移動を志向したかれらは、近年は一見すると日本社会に「同化」しているようにみえるが、それでもなお「民族」を完全に手放そうとはしないのはなぜなのかについて、その結婚観やチェサ(法事)観、朝鮮総聯との関係や朝鮮学校での経験などに関する語りを通じて考察した。

また、筆者が17回訪朝するなかで経験した朝鮮を紹介した8本のエッセイも掲載している。


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【ゲスト:山本かほり プロフィール】

1965年生まれ。愛知県立大学社会福祉学科教員(社会学)。著書に、谷富夫・稲月正・高畑幸編著 『社会再構築の挑戦〜地域・多様性・未来』(共著、ミネルヴァ書房 2020年)、有田伸・山本かほり・西原和久編著 『国際移動と移民政策〜日韓の事例と多文化主義再考』(共編著、国際社会学ブックレット2 東信堂 2016年)、平田雅己・菊地夏野編著 『ナゴヤ・ピース・ストーリーズ:ほんとうの平和を地域から』(共著、風媒社 2015年)等。


【インタビュアー:李洪章 プロフィール】

1982年生まれ。神戸学院大学現代社会学部教員。専門はエスニシティ、ナショナリティ、在日朝鮮人。著書に、『在日朝鮮人という民族経験〜個人に立脚した共同性の再考へ』(単著、生活書院 2016年)、『帝国のはざまを生きる〜交錯する国家、人の移動、アイデンティティ』(共編著、みずき書林 2022年)、『日常的実践の社会人間学〜都市・抵抗・共同性』(共著、山代印刷株式会社出版部 2021年)等。