今回は2023年に大阪大学出版会より出版された『二重読みされる中華民国〜戦後日本を生きる華僑・台僑たちの「故郷」』の筆者である岡野(葉)翔太さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。
【著作概要】1949年以降、中華人民共和国と中華民国は互いに「中国」の正統政府であると主張し、海外在住の「華僑」をどちらの「国民」とするのか、熾烈な争奪戦を繰り広げた。
日本で暮らす台湾出身者や台湾に移転した中華民国と結びつく大陸出身者=「台湾系華僑」は、戦後東アジア地域秩序の再編によって迫られた「中華民国を支持するか」、「中華人民共和国を支持するか」、「台湾独立を支持するか」という政治選択に翻弄され、様々なカテゴライズやレッテルのもとで自己認識を問われてきた。
本書では、在日華僑研究のなかで明確に位置づけられてこなかった「台湾系華僑」の存在を歴史的変遷のもとで捉えなおし、地図上に引かれた境界の経緯と、それに基づく呼称や自己認識との関係のなかで再考する。
関連カテゴリ:
【ゲスト:岡野(葉)翔太 プロフィール】
1990年、神戸市生まれ。葉翔太(YEH, Hsiang-tai)は台湾名。 2015年、大阪大学大学院文学研究科博士前期課程(東洋史)修了。2022 年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。中央研究院台湾史研究所訪問学員、大阪大学大学院言語文化研究科特任研究員などを経て、現在は大阪大学レーザー科学研究所特任研究員、大阪大学大学院人文学研究科招聘研究員。専門は華僑華人研究、現代台湾地域研究、中国近現代史。 主な論文に、岡野翔太「『存在しない国』と日本のはざまを生きる〜台湾出身ニューカマー第二世代の事例から」蘭信三ほか編『帝国のはざまを生きる〜交錯する国境、人の移動、アイデンティティ』(みずき書林、2022年)など。
【インタビュアー:松田ヒロ子 プロフィール】
神戸学院大学教員、ブックラウンジアカデミア事務局 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda