『交渉の民族誌〜モンゴル遊牧民のモノをめぐる情報戦』(著者 堀田あゆみさんインタビュー)

モンゴル遊牧民のモノをめぐる情報戦

勉誠出版 2018年



ブック・ラウンジ・アカデミア、第10回目は堀田あゆみさんに著書『交渉の民族誌〜モンゴル遊牧民のモノをめぐる情報戦』について語っていただきました。

【著作概要】
移動生活のため必要最低限のモノしか持たないといわれてきたモンゴル遊牧民のくらし。しかし実際は、目新しいモノに目敏く反応、入手経緯を逐一尋ね、欲しいモノなら即座にかけ合う交渉社会であった。モノに関する情報はそれ自体が交換財的価値を帯び、各世帯で秘匿・公開を戦略的に管理する。「情報性」という新たな観点からモンゴル遊牧民の物質文化を読み解くと、ゲル(移動式住居)が整然としているのも、情報管理の結果であることが見えてくる。モノが交渉によって移動し、モノの情報分配によって社会関係さえも操作されるモンゴル遊牧社会が、ある種の「情報社会」であることを提示する。


【著者:堀田あゆみ プロフィール】

大阪府出身。高校卒業後、モンゴル国へ語学留学。総合研究大学院大学文化科学研究科地域文化学専攻で、モンゴル遊牧民のモノの情報をめぐる交渉を研究し、博士(学術)号を修得。現在は大学共同利用機関法人人間文化研究機構特任助教。 著書にNomadic Life in Mongolia : Stories of the Enkhbat Family and Their Belongings(2021,TEXNAI)、『モンゴル遊牧民 エンフバト一家のモノ語り』(2020[2015],TEXNAI)などがある。 姪っ子(左)に新たに入手したモノの情報(=交渉権)を分配しているところ〔2012年8月〕


【インタビュアー:伊藤洋志 プロフィール】

京都大学農学研究科修士課程修了。遊びと仕事の一体化をテーマに、小さな元手で個人がはじめられ、頭と体が鍛えられる仕事をナリワイと定義し、複数の仕事を持つ働き方の研究と実践を行う。遊撃農家、モンゴル武者修行などの個人のナリワイのほか、シェアアトリエや「全国床張り協会」などギルド的団体の運営も行う。著作は「イドコロをつくる」、「ナリワイをつくる」(いずれも東京書籍)。