重いリュックを背負って、しなやかに歩む!
旧約聖書の時代からディアスポラとして暮らしてきた彼らが、今もユダヤ人であり続けるのはなぜか?
ある場所からの出立は、ユダヤ史において繰り返されてきた光景であった。出エジプト、バビロニア軍による追放(第二次バビロン捕囚)、ローマ軍の侵攻で第二神殿が崩壊した後の各地への離散(ディアスポラ)、レコンキスタ後のイベリア半島からのユダヤ人追放、ナチスのホロコーストからの逃亡……。
ユダヤ人の歴史の長さと重みに比して、文化人類学者である著者がアルゼンチンで出会ったユダヤ人は、ブエノスアイレスの自由な空気を享受し軽やかに生きているように見えた。
きわめて厳格な宗教法にもほとんど拘束されない。
それでもなおユダヤ人であるのは、なぜ・どのようにしてなのか。
きわめて曖昧ながらもたしかに存在する、現代に生きるユダヤ人の生き方を描く。
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【ゲスト:宇田川彩 プロフィール】
1984年、横浜市生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、日本学術振興会海外特別研究員。文化人類学を専門として、アルゼンチンとイスラエルを中心に現代のユダヤ人にかんする研究を行ってきた。主な著作に『それでもなおユダヤ人であること――ブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉』(世界思想社、2020)、『アルゼンチンのユダヤ人――食からみた暮らしと文化』(風響社、2015)がある。
【インタビュアー:鶴見太郎 プロフィール】
東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術) 専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)