イスラエルの起源

ロシア・ユダヤ人が作った国

講談社 2020年



ホロコーストのあとの1948年にイスラエルは建国されたが、ホロコースト以前から、ユダヤ人国家を作ろうとするシオニストの動きは活発化していた。その基盤となったのは、旧ロシア帝国出身のユダヤ人だった。

ポグロムというユダヤ人に対する迫害事件をはじめとして、反ユダヤ的な動きは19世紀末から激化していた。だが、それにもかかわらずロシアに残り続けようとするユダヤ人は、シオニストのなかにさえいた。

そのなかでついにロシアを離れる決断をしたシオニストは、ユダヤ人と非ユダヤ人の関係性について、ある特定の考え方を持つようになっていた。それがイスラエルの軍事主義を規定し、また、パレスチナ人との関係も規定することになった。

本書は、こうした、イスラエルの起源となった歴史、特にそれを大きく左右した民族間関係に、自己複雑性理論を参照しつつ、ミクロなレベルから迫っていく。


【著者:鶴見太郎 プロフィール】

1982年、岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。 主な著書に『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)がある。


【インタビュアー:宇田川彩 プロフィール】

1984年、横浜市生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、日本学術振興会海外特別研究員。文化人類学を専門として、アルゼンチンとイスラエルを中心に現代のユダヤ人にかんする研究を行ってきた。 主な著作に『それでもなおユダヤ人であること――ブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉』(世界思想社、2020年)、『アルゼンチンのユダヤ人――食からみた暮らしと文化』(風響社、2015年)がある。