第39回 清水亮さんインタビュー『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』

戦争の記憶のかたち

新曜社 2022年



今回は、2022年に新曜社より『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』を出版された清水亮さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは『〈趣味〉としての戦争』を出版された佐藤彰宣さんです。

【著作概要】
特攻など悲壮なイメージただよう少年航空兵「予科練」。戦後、学歴やレッテルに悩みつつ中年となった彼らは、ユニークな慰霊碑・記念館をつくりだす。その陰には、孤立していたはずの戦友会をとりまく婦人会・政財界・自衛隊のネットワークがあった。
*戦争体験者集団を、エリート、メディア、地域、集合的記憶、アソシエーションの切り口から捉え直す戦争社会学のチャレンジ。

序章 元兵士たちが遺した記憶のかたち
第1章 戦争・集団・記憶――社会形態学へ向けて
第2章 準エリートたちの軌跡――学歴と予科練
第3章 メディアを介した戦友会の統合
第4章 地域婦人会の記憶と行動――軍隊と地域の歴史的文脈から
第5章 戦後社会の戦友会支援ネットワーク――元軍人・自衛隊から政財界まで
終章 戦争をめぐるつながりとかたち

会報『飛雄』
慰霊祭アルバム1967年(本書233ページより)


【著者:清水亮 プロフィール】

著者プロフィール(400文字以内) 1991年東京都新宿区生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(早稲田大学)。戦争博物館や語り部、自衛隊・旧軍と地域社会に関する研究にも取り組む。共著に、『社会の解読力〈歴史編〉』、『社会のなかの軍隊/軍隊という社会』、『なぜ戦争体験を継承するのか』、『社会学で読み解く文化遺産』。その他詳細は、https://researchmap.jp/smzr/


【インタビュアー:佐藤彰宣 プロフィール】

1989年、兵庫県神戸市生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在、流通科学大学人間社会学部講師。専門は文化社会学、メディア史。著書に『〈趣味〉としての戦争』(創元社、2021年)、『スポーツ雑誌のメディア史』(勉誠出版、2018年)、共著に『「知覧」の誕生』(柏書房、2015年)、『趣味とジェンダー』(青弓社、2019年)、『近頃なぜか岡本喜八』(みずき書林、2020年)、『楽しみの技法』(ナカニシヤ出版、2021年)など。

第37回 山本かほりさんインタビュー『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』

<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で

三一書房 2022年



今回は2022年に三一書房より『在日朝鮮人を生きる〜<祖国><民族>そして日本社会の眼差しの中で』を出版された山本かほりさんをゲストにお迎えしました。

【著作概要】
本書は二部で構成される。第Ⅰ部では筆者がこの10年関わってきた朝鮮学校「支援」活動に参加しつつ、考察してきたことをまとめた。まず、朝鮮学校での営みを記述し、その学びが生徒たちにとってどのような意味を持つのかについて考察した。さらには、「朝鮮学校にとっての<祖国>とは何か」という問いに迫るべく、愛知朝鮮高校の生徒たちの朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への修学旅行の同行調査を行い、記録した。2週間にわたるフィールドワークを6度行い、かれらが朝鮮で何を見て、感じ、考え、そして、朝鮮をどのように捉えるのかについて考えた。そのうえで、朝鮮学校に「好意的」なリベラル言説が、朝鮮学校と朝鮮の関係を無化し、結果として他者理解の姿勢を手放してしまっていることについて批判的に考察した。

第Ⅱ部は、30年間にわたる在日朝鮮人の家族親族の生活史調査からの知見をまとめたものである。対象親族は3世世代に医師をはじめとする多くの高学歴者・専門職従事者を輩出した親族である。強固な家族ネットワークのもとで、日本社会を生き抜くために上昇移動を志向したかれらは、近年は一見すると日本社会に「同化」しているようにみえるが、それでもなお「民族」を完全に手放そうとはしないのはなぜなのかについて、その結婚観やチェサ(法事)観、朝鮮総聯との関係や朝鮮学校での経験などに関する語りを通じて考察した。

また、筆者が17回訪朝するなかで経験した朝鮮を紹介した8本のエッセイも掲載している。


【著者:山本かほり プロフィール】

1965年生まれ。愛知県立大学社会福祉学科教員(社会学)。著書に、谷富夫・稲月正・高畑幸編著 『社会再構築の挑戦〜地域・多様性・未来』(共著、ミネルヴァ書房 2020年)、有田伸・山本かほり・西原和久編著 『国際移動と移民政策〜日韓の事例と多文化主義再考』(共編著、国際社会学ブックレット2 東信堂 2016年)、平田雅己・菊地夏野編著 『ナゴヤ・ピース・ストーリーズ:ほんとうの平和を地域から』(共著、風媒社 2015年)等。


【インタビュアー:李洪章 プロフィール】

1982年生まれ。神戸学院大学現代社会学部教員。専門はエスニシティ、ナショナリティ、在日朝鮮人。著書に、『在日朝鮮人という民族経験〜個人に立脚した共同性の再考へ』(単著、生活書院 2016年)、『帝国のはざまを生きる〜交錯する国家、人の移動、アイデンティティ』(共編著、みずき書林 2022年)、『日常的実践の社会人間学〜都市・抵抗・共同性』(共著、山代印刷株式会社出版部 2021年)等。